PLEMO 脳卒中患者を対象とした上肢リハビリ支援システム

脳疾患に対するCI療法の一環として、上肢訓練ロボット「PLEMO」を開発する大阪大学大学院工学研究科機械工学専攻 古荘研、 株式会社ERテックの依頼により、ソフトウェアを開発。訓練者は椅子に座った状態でロボットのアーム先端(ハンドル部)をにぎり、ディスプレイに映された仮想平面の中で訓練やゲームなどを行うなかでリハビリテーションを行う。PLEMOは力覚提示装置であるので、物を押す感覚や速度に比例する抵抗感覚などを提示できる。 また本システムを通して患者の症状、回復度合いの定量的評価が可能となる。

Track Curve Software

ユーザの上肢の巧緻性測定、運動機能の維持、可動域拡大、分離運動パターンの確立・チェック・維持することを目的に開発を行った。本アプリケーションではユーザは白い点(Hand Position)を操作し、画面上に描いてある白い目標線分(Target Track)に沿ってアームを動かすことが求められる。上下の青い境界線(Border Track)に囲まれた領域は非粘性領域で力覚はフリーとなっており、一方で境界線を越えた部分は粘性領域でユーザに一定力が働く仕組みになっている。

青い境界線に囲まれた非粘性領域内の白い目標線分に沿ってアームを動かし、目標軌道との誤差,ゴールへの到達時間、手先速度を評価項目として上肢の巧緻性をチェックする。目標軌道の形状、スタートポイント、ゴールポイント変更可能となっているので、患者の症状に応じて訓練の内容を変更していくことも可能となっている。(例えばスタートポイントは左、ゴールは右、軌道は左右にまたがっている状態を、スタートポイントは上、ゴールは下、軌道は上下にまたがっている状態に変更可能である)。

Struck Out Software

本アプリケーションはアミューズメント性を考慮して開発を行っており。ユーザの巧緻性チェック、可動域拡大、運動機能の維持、チェックすることを目的に開発を行った。本アプリケーションではユーザは画面上に表示されている赤い球を操作して、画面上に表示されている複数の壁の位置まで上肢を動かして、壁を押し倒すことが求められる。手先位置の情報、力センサの情報から正しく壁を押せているかを判断し、判定アルゴリズムを満たさなければ壁を押せない仕組みになっている。ユーザは衝突判定アルゴリズムを満たしながら画面上に複数ある壁を正しく押し倒していく中でリハビリテーションを行う。 壁の個数・位置・傾きや壁との衝突判定アルゴリズムは変更可能となっており、患者の症状に応じて理学療法士が訓練内容を変更することが可能となっている。

CI療法

CI療法(Constraint Induced Movement Therapy)とは麻痺側上肢に対する積極的治療法として1990年代より世界的に注目されてきた治療法である。CI療法では、健側上肢を拘束して、麻痺側上肢での段階的訓練課題(Shaping項目)を1日5時間、休日を除いて10日間、実施する。短期間で長期間にわたる集中訓練により、脳の可塑性に直接働きかける治療法として考えられている。

上記の訓練アプリケーションを備えたPLEMOは兵庫医科大学においてはCI療法の一環として導入されている.ロボットを用いたリハビリテーションと従来のCI療法とを組み合わせ,従来のCI療法よりも発展したCI療法を実現している.

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